音楽のこととは限らず普段の生活の中で、自分の『呼吸』に着目することは大切である。私の場合、発声練習をするのに、長い時間（＝数秒）をかけて息を吐き出す必要が技術的なところにあるため、特には「息の吸い込み方」に注意が向く。一般に「腹式呼吸」などとも呼ばれる類のことではあるが、それは技術上の理屈であるので、そこにはここでは着目しない。「息の吸い込み方」とまずは書いたが、というより自分の感覚では、背筋が伸びないことには声も出ないし、音も聞こえ難い印象がある。それを逆に言えば、背筋を伸ばすと「音が聞こえ易く」「声が出易い」ということであって、たとえば普段のことで、なんとなくうつうつとしたり、考え込んでばかりいるようなときに、ふと大きく息を吸い込んで背筋を伸ばすと、周りの音が聴こえてきたり、目の前が明るくなったりする印象を持つことがあり、そうしたところから「背筋を伸ばす」動作自体が「うつうつ」や「考え込み」から抜け出す感覚を伴うことがある、などと思えることが実際にあるのと、そこでの明らかな体感として、単に「背筋を伸ばす」には、「まず息を大きく吸い込んでみる」という「動作の流れ自体」を自身が自覚するからだ。
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