Ryoji Suzuki Memo

「イメージ」に続き、自己の内面で起こる特徴的なことをもう少し書き加えておこう。自分がさらによく表現に用いる言葉で『バランス』という言葉がある。通常、この『バランス』という表現を用いる場合は、良い『バランス』、『バランス』が取れている、『バランス』が大切、などという風にその表現を用いる自分だが、これが内面のこととなると、まったくその逆になる。自己の内面において『バランス』が取れていることのほうが全然稀であって、『バランス』は「取れてはいけない」と感じているのが自分だ。これはどういうことか、というと、自分にとっての自己の内面の見え方として、ひとつのことが選り抜き「フォーカス」または「クローズアップ」されている状態の方が何かと行動に取り付きやすく、またその場合熱中することも伴って意識が分離し難くなる。これはそのひとつのことの「良し悪し」ではなく、足りないもの、著しく劣っている、と感じることにも同じように作用するので、いずれにしろ生きることや意欲を持つのに妨げになるようなことは起き難いのだ。

つづく｜バランス【その②】

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