広い草原を見渡す君がいる。あたたかい風、風というより空気の動きに相対する意識の芽生え、風そのものになれたのか、夢が叶ったのか。草花が芽吹いている。少し遠くに池がありそのほとりに広葉樹がある。空は澄み切ってはいないけれど、どことなくぼんやりとして、日差しがまぶしくない程度に全体を包み込んでいる。大地さえも浮いているかのようで心地よい。重力はどこへ行ったか。ここは地球なのかもしれないし、そうではないのかもしれない。そして・・・バイオスフィア。人工のその空間はまるで自然のありのままのように3次元物理世界を演出する。あの日から我々は旅に立ったのだ。夢と現実の区別のない世界、その遠い記憶の彼方に通じる空間、我が故郷へ。
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